自己破産が認められない人とその理由は? 失敗しない、出来ない場合の対処法を解説!

現在、借金返済に苦労してらっしゃる方は多いと思います。今回は、自己破産出来る条件、出来ない条件を詳しくみていきます。これを最後まで読むと、自己破産を成功させ、人生をリスタートさせることが出来ますよ!

自己破産が出来る条件とは

自己破産は借金が多額だといって誰でも出来るわけではなく、条件があります。どのような条件をクリアすれば自己破産が出来るのかみていきましょう。

借金(債務)の返済が出来ない状態であること

自己破産は、借金を返済出来ない状況の場合に認められます。現在、失業中で収入が無いなど一定期間のみ資金繰りが苦しいといった状態でなく、借金を返済できるめどが立たないような状態でないと認められません。失業により収入がないような場合でも、預貯金があるなどで、返済可能な見通しがあれば、自己破産は認められないのです。破産法に基づき、裁判所は、支払い能力の有無は考慮し、判断しています。
● 債務の総額と内容
● 資産の総額と内容
● 収入
● 家族構成
● 生活状況
● 債務を負担するに至る事情
これらを鑑みて判断されます。通常、債務総額が年収の3分の1を超過している場合は認められる可能性が高いです。ほか、負債が収入や資産を上回る場合や、保有する資産はあるものの換金性の低い資産である場合などには、支払い能力が低いと判断され、認められやすいです。

借金(債務)の内容が非免責債権でないこと

非免責債権とは、裁判所で破産手続きをし、たとえ免責許可決定が下りたとしても、返済しなければならないものをいいます。自己破産するには、負っている借金が非免責債権ではないことがあげられます。非免責債権は具体的には以下のものが該当します。
● 税金
● 下水道料金(上水道や電気、ガスは免責される)
● 社会保険料
● 損害賠償金(重過失のもの)
● 養育費
● 罰金
● 慰謝料
● 従業員への給与(※個人事業主の場合)
このように破産手続きでは、すべての債務について免責されるわけではなく、債務の内容や種類により、免除が許されない場合があります。破産法では、公益上の理由や特定の債権者保護のため、先に記載した債権に関して、返済の免除を認められていません。自己破産した場合でも支払い義務が残ったままとなります。ですので、借金の内容が非免責債権しかない場合には自己破産しても意味がないこととなります。

自己破産の理由が免責不許可事由に当たらないこと

裁判所は、債務者が自己破産を免除するのにふさわしくないと思われる内容の借金や行動があると、自己破産を認めません。それらの借金や行動を「免責不許可事由」といいます。免責不許可事由とは、具体的に以下のようなこととなります。
● 借金を背負った理由がギャンブルなどの浪費
● 差し押さえから避けるために親戚や知人などに財産を譲った
● 債権者を侵害する目的で自らの財産を隠したり、減少させたりした
● 裁判所に対しての虚偽の申告、説明の拒否
● 自己破産の免責を過去7年以内に受けている
しかし、程度が低かったり、考慮すべき事情がある場合、裁判所が免責の許可を下ろす判断をする場合があります。自己破産は、債務者を救うための制度ですので、なるべく裁判所の裁量で認められる方向で手続きは進んでいきます。そして、時間や費用を費やす管財事件という手続きになりやすいです。管財事件とは、裁判所が破産管財人を選定し、財産の管理や処分をしながら破産を進めていく方法です。免責不許可事由がある場合のうち、ある程度財産があったり、破産者が個人事業主である場合、この手続きになる事が多くみられます。

予納金の支払いが可能なこと

自己破産における予納金とは、裁判所に支払う費用です。具体的には、破産申立手数料、官報広告費、郵券、引継予納金です。弁護士に支払う報酬などとは異なります。
破産申立手数料は、自己破産の手続きを申し立てる際に支払う手数料で1,500円となっています。現金ではなく収入印紙での支払いです。官報広告費は、国が発行する機関紙で、国家公務員の人事異動や法令の公布などが掲載されます。そこに自己破産をすると氏名が掲載されるのです。これには約1万~1万5千円の広告費がかかります。
郵券とは、債権者に自己破産したことを郵送で通知するのですが、それに使用する郵便切手代です。
引継予納金は、管財事件になった場合に、それに関する費用や破産管財人に支払う報酬のことをいいます。管財事件では、破産管財人が破産者の財産等を調査し、債権者へ配当を行ないます。費用はその処理に使用されるものです。一般的には10~20万円ですが、場合によっては50万円ほどかかる場合があります。なお同時廃止事件だと、この費用は必要ありません。これらの費用が支払うことができる場合、自己破産する権利があります。一括で支払えない場合、分割払いや、破産管財人に積み立ててもらったり、法テラスの活用といった方法があります。

自己破産が出来ない理由とは


借金の返済を免除してもらいたくても、自己破産が出来ないのには理由があります。どのような条件に該当すると自己破産出来ないのか確認してみましょう。

借金(債務)の金額が少額である

借金の額が少額の場合、自己破産はほとんど認められないでしょう。具体的な金額を提示すると、主に100万円以下の借金の場合や、借金の額が年収の3分の1以下の場合です。100万円という額の設定は客観的に第三者から見て、返済可能な金額だと思われる金額ということです。ですが、認められる場合もあります。生活保護受給者などのやむを得ない状況で、返済が難しい事情が明らかな場合などです。債務者本人の主観的な判断ではなく、第三者の判断から支払いが困難な場合は、自己破産は認められるということです。具体的な判断材料としては、借金の額、毎月の返済額、預貯金額、家計収支、保険の加入状況、不動産等の状況などです。

予納金が支払えない

自己破産の予納金とは、自己破産の手続き上必要な、裁判所に対してあらかじめ支払う費用のことです。予納金を支払えないと自己破産することができません。自己破産の予納金は、主に以下のような費用に充てられる。
● 破産申立手数料(破産を申し立てる際に必要となる費用)
● 官報広告費(自己破産した事実を官報に掲載して広告するために必要な費用)
● 予納郵券(債権者に対して申立人が破産した事実の通知を郵送する際、必要な費用)
● 引継予納金(破産管財人が破産手続きを進めていくために必要な費用)
これらの費用の相場は、破産事件を管轄する裁判所や破産事件の種類・内容により異なります。特に管財事件(破産管財人による財産の調査や換価回収、債権者への配当などが必要な事件)の場合、予納金は最低でも約20万円程度になるため、一括で予納金を支払う事が困難なケースがあります。破産の申立の際、予納金をすぐに支払うことができない場合は、その対策として以下の方法が考えられます。
● 弁護士に依頼して予納金を積み立ててもらう。弁護士と委任契約を行なうと、弁護士は債権者へ受任通知を発送します。
そこからは債権者は取り立てを行なうことができません。それまで支払っていた債権の額を予納金として支払う額まで積み立てるといった方法です。
● 法テラスを利用して一時的に予納金を立て替えてもらう
● 裁判所に依頼して引継予納金を分割払いにしてもらう

職業制限に該当する

自己破産が認められる場合でも、破産申立人である本人が、以下の職業制限に対応できないという場合には、破産が難しいと言わざるを得ません。自己破産の手続き中、そして自己破産後は、ある特定の職業や資格を一定期間喪失することになってしまいます。
ある特定の職業と資格は以下のとおりとなります。
● 警備員
● 弁護士、税理士、司法書士などの士業
● 証券会社等の外務員
● 保険外交員
ただし、このような職業や資格でも、裁判所の免責決定が下りれば、資格を取り戻すことは出来ます。しかし、資格を取り戻すまでの期間は長く、実際、仕事を離れることが不可能であったり、その職業や資格を喪失することによって収入が途絶えてしまうという問題が生じます。そのような状況に対応できない場合、実質的に自己破産が困難となるため、別の債務整理の方法、すなわち任意整理や個人再生などの検討が必要となるでしょう。

免責不許可事由に該当する

免責不許可事由、すなわち借金の返済を免除するのにふさわしくない行動や借金の内容だと思われる場合は、原則として自己破産は認められません。具体的に免責不許可事由とは以下のとおりです。
● ギャンブル、株取引などをはじめとする浪費的行動
● 自己破産をすることを認識しながらも、それを故意に隠して行なう金銭売買の取引、ローン、借入など
● 破産手続きの開始を遅らせることを目的として、闇金業者から借金をしたり、クレジットカードを利用して購入した新幹線などのチケットを購入、その後、そのチケットを換金する行為
● 業務や財産の状況に関する書類などを隠したり偽造したりすること
● 故意、悪意により虚偽の債権者名簿を提出すること
● 債権者への返済を減少させる目的で自己破産の申立前に自らの財産を減少させる、または隠すなどといった行為
● 自己破産期間中、知人等、特定の債権者にのみ有利に返済を行なったり、担保の設定などを行なうこと
● 裁判所の調査に関し、偽りの内容を伝えたり、説明を拒否する行為
● 破産管財人が行なう職務を妨害する行為や、破産管財人の指示や指導に従わない場合
● 過去にも自己破産や個人再生などの法的救済制度を利用しており、その利用から7年が経過していない場合
● 裁判所や破産管財人に対して非協力的で申告義務や情報開示義務を怠ること
税金や養育費等を支払うために借金をして、自己破産したらいいと思っていても、それは認められない。

そもそも支払うことが可能な借金(債務)である

自己破産は借金が払えなくなった状態に対して、裁判所がその借金の返済を免除する判断を下すものです。裁判所が支払う能力があると判断したら、自己破産できません。

過去7年以内に自己破産をしている

自己破産は人生のうち、何度でも行なうことが出来ます。現実的には、2度目以降は、最初の自己破産の時よりも裁判所の判断基準が厳しく設けられることが多く、特に以下のような場合には自己破産は認められません。
● 前回の自己破産から7年以内
● 給与所得者等再生を行なってから7年以内
● ハードシップ免責の適用を受けてから7年以内
破産法では、自己破産を行なって免責されたことがある事実がある場合、そこから7年を経ていない場合、再度自己破産することは不可能です。ですので、7年経過した後は、形式的には再び自己破産を行なえるようになりますが、前回の自己破産時よりも、さらに厳しいハードルが設定され、再び自己破産を認めてもよいものかどうかを慎重に検討されることになります。また、給与所得者等再生を行なった場合、その後7年を経過していなければ、自己破産は認められません。給与所得者等再生とは、個人再生手続きの中の一種で、安定的な収入が認められる場合に利用することができるという特徴がありますが、この手続きを裁判所の許可のもと行なった後はすぐには自己破産ができません。あと、ハードシップ免責の適用を受けて7年間は自己破産が認められないことになります。ハードシップ免責は、個人再生後、ある事情により、返済が難しくなった場合などに、一定の条件をクリアすることによって返済が免除される救済制度です。負債原因が、医療費などやむを得ない場合は、7年以内であっても裁量免責が認められる場合があります。

自己破産が出来なかった時の対処法

自己破産出来ない条件に該当してしまったら、他の方法を模索していくことを検討する必要があります。どのような方法があるのかみてみましょう。

即時抗告をする

即時抗告とは裁判所が下した判断に不服がある場合、さらに上級の裁判所に対して再審理し、判断の変更を促すことです。自己破産を申立てたが、裁判所から免責不許可の判断を下された場合、官報公告の日から2週間以内なら即時抗告を行なうことが出来ます。ただ、免責不許可の判断が即時抗告で覆る可能性はあまり高くないです。

任意整理をする

任意整理とは、返済状況を見直して金利や遅延損害金などを減らしていき、基本的に元本のみの返済にすることで、返済額を減少させるという債務整理の一つの方法です。持続的に安定した収入の可能性があれば、利用できる方法です。債権者へ返済していく額を少しでも減らし、自己負担を少額にした場合や、長い目で計画的な返済を行なって完済することを考えている場合にベストな方法です。自己破産や個人再生より、借金返済の幅は小さくなります。任意整理は個人再生ほど減額できません。保証人がいて自己破産ができない場合は、個人再生が選択できないので、任意整理で解決する方法となります。同居家族に内緒にしたい場合も自己破産と個人再生の選択ができないので任意整理を選択することになります。

個人再生をする

債務負担を大幅に軽減させ、返済計画を立てたうえで、生活の再生をはかりながら債務を返済していくという法的な救済制度です。この制度を利用することで、債務負担を5分の1~10分の1程度にまで減少できます。自己破産が認められない、または再度の自己破産によって裁判所が免責許可しないと考えられる場合には、この方法も視野にいれましょう。注意すべきことは、個人再生をすると保証人に請求がいくことです。そして借金の総額にも制限があります。例えば住宅ローンをのぞき5,000万円まで。そして個人再生は、借金の減額の制度なので、返済をしなければならないことも頭に入れておく必要があります。

自己破産を失敗しない為の対処法


自己破産を成功させるために、注意しておかなければならない事や気をつけておくべき事があります。注意深く確認してください。

借金を増やさない

自己破産の手続き中なのに借金を増やしたりすると、裁判所から反省の色が見えないと見られかねません。免責不許可事由に該当することでなら、なおさらです。人生のリスタートに向け、心構えを、今後は借金をしないという方に仕向けておくべきです。

予納金を事前に準備をする

前項で再三、話に出ている予納金ですが、これがないと自己破産の申立ができません。借金返済でお金が無い上に、お金を準備しなければならないのですが、この苦しみから解放されるのであれば、少し節約をしてコツコツ準備をしておくのも大事です。安くて2万円、高ければ50万円ほどかかります。逆算して計画的に準備していきましょう。

自身の状況から自己破産が出来るかを事前に調べる

自己破産出来る状況かどうかを調べてみましょう。借金の返済能力があるのか、無いのか。借金が免責不許可事由に該当しているか、していないか。借金の内容が非免責債権か、否か。借金の返済能力が無く、借金が免責不許可事由に該当せず、借金の内容が非免責債権ではなければ、自己破産できる可能性が上がります。

裁判所や管財人との手続きには真摯に対応する

自己破産できるか否かは、裁判所が判断します。ただ単に借金の額や、収入、預貯金額などの数字だけで判断されるというものではありません。免責許可が下りるまでには、裁判所や管財人との面談が行なわれたり、書類の提出を行なったり、さまざまな段階を経ますが、その都度、誠意があるかどうかなどの姿は見られます。特に免責不許可事由に該当する場合、自己破産できるかどうかは裁判所の裁量に委ねられ自己破産できる場合がありますが、裁判所や管財人との手続きでの心象が影響する可能性はあります。

専門家に相談をする

自己破産が成功するかどうか、弁護士や司法書士は何人もの同じような人を見てきています。そのような専門家に相談し、アドバイスを頂きましょう。何をしてはいけないか、どうしていったらいいか、などを教えてくれるでしょう。

ギャンブルや浪費が要因の場合、自己破産は出来ない?

ギャンブルや浪費、株式投資での失敗が原因で借金した場合は、自己破産出来るのでしょうか?確認してみましょう。

ギャンブルや浪費、株式投資の失敗による借金について

ギャンブルや浪費、株式投資の失敗により借金した方は多くいらっしゃると思います。これらが原因で作ってしまった借金は自己破産して免責許可が下りるでしょうか?結論から言うと、下りません。ギャンブルや浪費、株式投資が原因の借金は、前項でお話した「免責不許可事由」に該当します。しかし、裁量免責で自己破産できる可能性は残されています。

裁量免責の可能性について

裁量免責は、基本、自己破産できないが、裁判所の裁量により出来ることです。債務者のギャンブルや借金に対する反省の姿勢や、裁判所へ提出する陳述書の内容などを勘案し、今後の人生において、再び同じような借金生活に陥る可能性が無いと裁判所が判断すれば、裁量免責される場合があります。

まとめ

自己破産が出来る人、認められない人、認められない人はどのような理由が原因で認められなかったのかを詳しく調べてみました。自己破産の条件や、認められない理由が明確にわかり、現在、借金に苦しんでいる方は自己破産に向けてどのようにしていけばいいのか、すべきことが明確になったのではないでしょうか。これを読んでいただいたら、早めに計画を立て、実行していくことにより自己破産を成功させ、人生をリスタート出来ると思います。

さいごに

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