自己破産をしても賃貸契約はできる? 債務整理後の賃貸保証会社の注意点!

自己破産をした場合、賃貸契約にはどのような影響が出るのか不安に感じている方がいらっしゃると思います。
今回は自己破産をした後の賃貸契約ができるのかどうか、賃貸保証会社の注意点などをまとめました。

自己破産とは?

そもそも自己破産とは?

自己破産とは、裁判所によって借金の返済が不可能と認められた場合、自分の財産を失う代わりにすべての借金が免除になるという仕組みのことです。

自己破産による様々な影響

自己破産によって何が起こるのでしょうか。
まず、前項で述べた財産について、自分の財産がどのくらいの範囲のものをいうのかまとめました。
下記は法令を抜粋したものです。

破産法 第三十四条
3 第一項の規定にかかわらず、次に掲げる財産は、破産財団に属しない。
一 民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第百三十一条第三号に規定する額に二分の三を乗じた額の金銭
二 差し押さえることができない財産(民事執行法第百三十一条第三号に規定する金銭を除く。)
ただし、同法第百三十二条第一項(同法第百九十二条において準用する場合を含む。)の規定により差押えが許されたもの及び破産手続開始後に差し押さえることができるようになったものは、この限りでない。
<参照>https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=416AC0000000075

要約すると、

  • 99万円以下の現金は没収されない(預貯金は含まない)
  • 20万円以下の預貯金は没収されない
  • 差し押さえが禁止されているものがある(タンス、ベッド、衣類など)

上記の内容が破産法という法律の内容です。すなわち、最低限の生活をするためのものは残ります。

自己破産で起こる賃貸契約への影響は?

ブラックリストに載ることによる影響は?

まずブラックリストというのは、信用情報機関に要注意人物として情報が載るということです。
そしてブラックリストに載ることにより融資やローンを組むことが難しくなります。

ブラックリストに載る期間は?

債務整理をすると、借金が減額になるか免除になる代わりに5~10年間ブラックリストに載ります。
この債務整理には任意整理、個人再生、自己破産の3つの方法があり、信用情報機関に載る期間はそれぞれ違います。

・信販会社や消費者金融が多く加盟する「CIC(株式会社シー・アイ・シー)」の場合
任意整理…5年、個人再生…5年、自己破産…7年

・信販会社や消費者金融に加え、銀行も加盟する「JICC(株式会社日本信用情報機構)」の場合
任意整理…5年、個人再生…5年、自己破産…5年

・多くの銀行の信用情報を扱う「KSC(全国銀行信用情報センター)」の場合
任意整理…5年、個人再生…5年、自己破産…10年

ブラックリストの確認方法

信用情報機関には「信用情報開示制度」というものがあります。この制度を利用して、自身の情報を確認することができます。
内容は以下の通りです。

  1. クレジット情報:契約している会社や支払い状況などが細かく記されています
  2. 申込情報:新規の申し込みの際に金融機関などが調査をする為の情報
  3. 利用登録:1と情報は似ています。情報を確認した日が記されています
  4. 参考情報:申告内容やコメントなど

申し込み方法や料金は下記にまとめました。

信用情報機関名CICJICCKSC
インターネットクレジット払い
1,000円
クレジット払い
1,000円
なし
郵送定額小為替証明書
1,000円
定額小為替証明書
(クレジット可)
1,000円
定額小為替証明書
1,000円
窓口500円500円なし

※登録情報が無かったとしても返金はされません。

自己破産をしたら賃貸契約は解除されてしまうのか

自己破産によって賃貸契約が解除されてしまうのか不安になる方もいるかもしれませんが、結論から言うと影響はありません。

賃貸契約でも家賃の滞納が無ければ影響はなし

自己破産をしても家賃を滞納してなければ解除されません。

大家や管理会社への報告義務も必要ない

大家さんや管理会社への報告は特に義務ではありません。
ですが、家賃滞納はしないようにしましょう。

保証人への影響もない

自己破産をしても保証人に連絡はいきません。ただし家賃を滞納していた場合は、保証人に返金義務が移ります。
そのため、自己破産する前に保証人の方とは連絡を取っておいた方が良いでしょう。

更新することもできる

賃貸契約の更新をすることも可能です。ただし、以下の場合は更新が不可となる可能性があります。

  • 賃貸保証会社が信販系である場合
  • 家賃の支払いをクレジットカード払いにしている

家賃滞納がなくても高すぎる家賃の場合は注意

家賃の滞納がある場合はもちろん契約を解除されます。
そしてもう一つ、契約を解除される可能性が高いケースがあります。それは、収入に比べて家賃が高いと指摘された場合です。
借金などの支払いが無くなっても収入と比べて家賃が高すぎるとまた同じようなことが起きると判断され、賃貸契約を解除される可能性があります。
家賃は一般的に月収のおよそ3分の1が妥当とされているので、これを意識してお部屋を探してみてください。

自己破産後でも賃貸契約は出来る?

自己破産した後、賃貸契約が出来るのかが一番不安に感じていることでしょう。
その不安に関する疑問などを解説していきます。

入居審査を通す必要がある

まず契約するにあたって、審査が通らなければなりません。
不動産会社や大家さんが契約しても大丈夫かどうか見極める為、審査を行います。

大家と管理会社の審査

管理会社が入居に関する書類などの審査をした後、大家さんの審査へと移ります。
書類に不備が無ければ審査は無事通過ということになります。書類などは提出前によく確認しましょう。

保証会社の審査

保証会社とは、入居者が家賃を払えない場合に立て替えてくれる会社です。
保証会社も家賃の滞納は避けたいので相応の審査はあります。
保証会社が入っている物件は保証料というものも家賃に含まれています、これは家賃を滞納したときの保険のようなものです。

入居審査でのチェックポイントは?

入居審査でチェックされる項目はなにか、挙げていきます。
チェックすべきポイントは4項目あります。

その1 安定した収入があるか

安定した収入とはどのくらいかというと、入居審査に通る年収の目安は家賃の36倍以上です。
例えば家賃が5万円のところだと年収180万円以上が必要となります。ただしボーナスは除いたものとしましょう。
あくまで目安ですが、これくらいだと審査が通りやすいと言われています。

その2 保証機関での信用があるか

保証機関での信用があるかどうかもチェックされるでしょう。クレジットカードの支払いなど、項目が多数あります。
保証会社は3つのタイプがあり審査の厳しさがタイプによって違います。
このことについては後述に記載していますので確認してみてください。

その3 連帯保証人の有無

入居審査を通るためには連帯保証人を立てることができると審査は通りやすくなります。
ただし連帯保証人にも審査があり、チェック項目があります。当然連帯保証人にも安定した収入があるかをチェックされます。
そして3親族以内の親族だと審査が通りやすいです。血縁が近い人ほど審査が通りやすくなります。

その4 契約者本人の人柄

そして4つ目はズバリ、人柄です。
ここまで収入や書類など述べてきましたが、最後はやっぱり人柄です。審査する人も人間なので、人柄がいい人には手を差し伸べたくなるものです。
あとは近隣とのトラブルが起こる可能性はやはり排除したいので人柄が大事ということです。

入居審査を通すためにやっておくこと

入居審査を通過するためにやっておくことや用意しておくことなどをここでは解説していきます。

自身の信用情報を確認して回復しているかを見る

まず自身の信用情報に傷がないかを確認してください。
信用情報に傷が付く条件は、

  • 61日以上連続の延滞
  • カードが解約された
  • カードが作れない

上記に該当してなければ回復していると言っていいでしょう。

信用情報を回復するためには、

  • ローンや借金をすべて完済する
  • 完済後約5年を待つ

上記の条件をまずクリアしてください。

収入が安定している連帯保証人を用意しておく

連帯保証人を用意しておけば、審査は通りやすくなります。ただし、連帯保証人にもなれる人となれない人がいます。

・連帯保証人の条件その1 3親等以内の親族である
1親等:両親、子供
2親等:祖父母、兄弟、孫
3親等:曽祖父母、叔父・叔母、甥・姪
上記の親族は審査が通りやすくなるでしょう。

・連帯保証人の条件その2 家賃の36倍の年収がある
これは契約者と同様に安定した収入の条件になっています。
上記の条件を満たす方がいらっしゃれば連帯保証人としては十分でしょう。

そして連帯保証人にはなれない人もいます。
これからあげる条件に該当する場合は連帯保証人にはなれません。

  • 同居する家族
  • 海外に住んでいる親族
  • 友人
  • 会社の上司や同僚
  • 年収が少ない人
  • 日本国籍がない

上記に当てはまる方は残念ながら連帯保証人にはなれません。

自身が安定した職に就く

まずは自身が安定した職に就くことが重要です。
しかし、職業によっては審査に落ちやすい職業も存在します。その職業をいくつか挙げていきます。

1.水商売
水商売のほとんどは夜間に働くが多いため、一般職の方とは生活のリズムが違います。そのため騒音のトラブルなどが起きやすくなるので、敬遠される職業の一つでもあります。そして収入が安定していないのも落ちやすい理由の一つでしょう。

2.肉体労働
これはケガなどのリスクが高く、その場合に収入が無くなってしまい家賃を滞納されるのではないかと敬遠される大家さんがいることからです。
けれども、肉体労働のお仕事も立派な職業です。リスクが高い職業だからといって一概に落ちやすい職業とは言えません。勤務年数や収入から判断して問題なく契約ができる可能性ももちろんあります。

3.個人事業主、会社経営者
こちらは、審査する人によっては収入が安定していないと思われ審査が通らないこともあります。

4.無職
言わずもがなですが、やはり大家さんは安定した収入があるかどうかを見ます。そのため無職の方は審査には通りにくいでしょう。

自己資金を貯めて初期費用を作っておく

入居する際、物件の多くは初期費用を払わないといけません。初期費用は物件によって違いますが、一般的に家賃の5~6カ月分というのが目安になっています。
以下は初期費用の一例です。

  • 敷金…家賃1~2カ月分
  • 礼金…家賃1~2カ月分
  • 仲介手数料…家賃0.5~1か月分+消費税
  • 前家賃…家賃1カ月分
  • 共益費・管理費…家賃の5~10%程度
  • 火災保険料…15,000円程度
  • 保証料…家賃0.5~1か月分
  • 鍵の交換…15,000円程度
  • 室内の消毒…10,000円程度

今は敷金、礼金ゼロの物件も増えてきていますので初期費用を抑えることもできます。お部屋探しの参考にしてください。

収入の4分の1程度の賃貸物件を選ぶ

家賃は収入の4分の1もしくは3分の1程度の物件を選びましょう。
収入の4分の1程度の家賃だと、プライベートでもある程度自由にできると思います。

それでも入居審査に落ちてしまった場合の対処法

違う保証会社にて再審査をする

まずは保証会社を変えて審査を受けてみましょう。
審査会社は主に4つに分かれており、それぞれ審査基準が違います。

・信販系
クレジットカードの情報をもとに審査します。
CIC(指定通信情報機構)、JICC(日本信用情報機構)に信用情報を参照し審査を行うので、審査は厳しいと言われています。

・LICC(全国賃貸保証業協会)系
LICCという協会に加盟している保証会社が行う審査です。
この協会に加盟している保証会社で事故などを起こした場合、この情報が協会全体で共有されているのでこの場合の審査は難しくなるでしょう。

・LGO(賃貸保証機構)系
LGOというところに加盟している保証会社が行う審査です。
LICC系とは違い共有はされていません。そのため過去の事故もあまり問題にはならないでしょう。

・独立系
独立系は前に述べた3つとは違い、団体に所属しておらず各保証会社が独自の審査基準を設けています。別の保証会社との共有も行っていません。
例えば職業でいうと、水商売の方が入りやすい保証会社なども存在するようです。

収入が多い親族で代理契約をする

本人とは契約せず、代理を立てる契約の仕方があります。
代理契約にも条件はあるのですが、これは前に述べております入居審査の条件と同じですので割愛します。
代理契約が出来る人は以下の人が該当します。

  • 未成年
  • 成人済の学生
  • 無職の人
  • 収入が不安定な人
  • 信用情報に傷がある人
  • 障がいがある人

上記に当てはまる人は代理契約が出来ます。
ただし代理契約者が30代以降だと審査が通らないケースもあります。

UR賃貸や市営住宅に申し込みをする

UR賃貸や市営住宅には一般的な入居審査がなく、その代わりに申込資格が設けられています。この申込資格の基準を満たすことで賃貸契約の申し込みが可能となります。
例えばUR賃貸の場合は、下記の条件になります。

・世帯で申し込む場合

家賃額基準月収額
82,500円未満家賃額の4倍
82,500以上20万円未満33万円(固定額)
20万円以上40万円(固定額)

・単身者で申し込む場合

家賃額基準月収額
62,500円未満家賃額の4倍
62,500以上20万円未満25万円(固定額)
20万円以上40万円(固定額)

※上記の月収額に満たない場合は家賃一時払い制度や貯蓄基準制度を利用するか、一定の条件を満たす場合は収入基準の特例を受けることができます。
<参照>https://www.ur-net.go.jp/chintai/rent/requirements/

まとめ

自己破産をする前にまずは相談できる人に相談をしましょう。
現在の世の中はネット社会なので、調べれば対処法などを探すのは容易です。
情報過多になる恐れもありますので、まずは情報を整理し、自分なりの道筋を立て自分なりの選択をしてください。

さいごに

【専門家に相談したい方はこちらへ】

弁護士法人ひばり法律事務所

 

【予算不足のためご自身でなんとかしたい方はこちらへ】


 

関連記事

コメント

この記事へのトラックバックはありません。

TOP