自己破産すると分割払い中の携帯はどうなる?継続利用や新規契約は可能なのか?

今や生活に欠かせない携帯電話ですが、自己破産するとその後は利用できるでしょうか。措定される事態とその対処法などを紹介します。これを読み、事前に対策をたてることで、継続して携帯電話を利用できるようになりますよ!

自己破産すると分割払い中の携帯はどうなるのか?

自己破産すると、分割払い中の携帯電話の契約はどうなってしまうのでしょうか。生活に切り離せない物となっている携帯電話ですので大変気になるところです。

携帯端末を分割払いしている場合

携帯端末を分割払いしている場合、強制解約されます。携帯電話の端末の分割払いは、ローンを組んで携帯端末を購入しているということになるからです。携帯電話会社に借金をしているわけです。債務はすべて裁判所に申告しなければならず、自己破産の申立を行なった時点で、各債権者に受任通知が届きます。そこから債権者は、債務者に対し、督促を行なえなくなります。携帯会社自体の規約にも「債務者が破産手続き開始決定を行なわれた場合、契約を解除する」旨が記載されていたりすることもあり、端末料金の支払い不能を理由に解約することが可能です。なお、自己破産したら、延滞金などの支払いは免責されます。

さらに、自己破産をする本人が名義で契約されている家族の携帯電話も、まとめて解約されることになります。なお、携帯電話会社によっては、自己破産を申し立てる前に、家族などに名義変更を行なっておけば、解除されることなく、引き続き使用できる場合があるので、確認が必要です。名義変更できる場合と、それにかかる手数料を下記に記載しています。

受付場所名義変更手数料
docomo店頭家族間(三親等内)は無料
家族以外は2,200円
au店頭家族間は無料 家族以外は2,970円
ソフトバンク店頭家族間は無料 家族以外は3,300円
楽天モバイル書類郵送家族間、家族以外とも3,300円
Yモバイル店頭家族間、家族以外とも3,300円
UQモバイル変更不可

(手数料は税込価格)
なお、元々、携帯電話の契約が自己破産した本人以外の契約だった場合は、引き続き、使用できます。そして、携帯端末料金をすでに払い終えている場合も、毎月の電話代や通信料などの利用料金をキチンと支払っていれば、強制解約されることなく、引き続き使用可能です。携帯電話会社への債務は無いからです。

なお、自己破産の手続き期間中は、携帯電話を使用したいからとって、滞納している料金を支払ったりしてはいけません。自己破産の手続きを開始すると、その旨をすべての債務者に通知します(受任通知)。そこからは、すべての債務者は債権者に対し督促を行なうことができなくなります。そんな中、ある特定の債務者に対してのみお金を返すということがあれば、他の債務者に対し不利益を与えたことになるのです。これを偏頗弁済(へんぱべんさい)といいます。これが影響し、自己破産が出来なくなることがあるので、大変注意が必要です。

利用代金のみを滞納している場合

毎月の電話代や通信代等に該当する利用料金を滞納している場合も携帯電話会社に対する債務となります。債務はすべて裁判所に申告しなければなりません。自己破産すると、滞納している利用料金の支払いは免責となる代わりに、強制解約される可能性が高いです。しかし、携帯電話会社によっては、携帯は生活必需品であるとの観点より、利用継続を認める場合もあるので、確認が必要です。端末料金と同様、携帯が無くなるから困るという思いで、自己破産手続き開始後に利用料金のみを支払ったりしてしまうと、偏頗弁済(へんぱべんさい)となり、自己破産が成立しなくなる恐れがあるので気をつけましょう。

利用代金をクレジットカードで支払っている場合

クレジットカードは、カード会社に受任通知が届いた時点で利用できなくなります。支払い不能状態になるので、利用代金は支払われなくなり、契約は解除されます。

自己破産後の分割払い中の強制解約を避ける方法は?


自己破産はしてみたものの、携帯電話は生活に必要なので、できれば引き続き使用したいものです。強制解約を避ける方法はあるのか、探してみましょう。

第三者に残額分を返済してもらう

強制解約を避ける方法の一つとして「第三者弁済」という方法があります。これは、生計を別とする第三者に支払ってもらう方法です。第三者に該当する者としては、生計を別とする家族や親族、友人、知人があげられます。配偶者や同居の子供、別居はしているが仕送りを行なっている子供などは、生計を一として第三者に該当しないので、含まれません。そのような第三者に代わりに払ってもらうのですが、「後で返すからとりあえず立て替えておいて」というようなことも不可です。あくまで無償で第三者に払ってもらうのが条件です。ちなみに自分や配偶者などの第三者以外の者が支払ってしまった場合は、偏頗弁済(へんぱべんさい)となります。これにより、自己破産が成立しなくなるかもしれないので、注意が必要です。

自己破産ではなく個人再生や債務整理に切り替える

借金返済に困った場合、自己破産以外にも「個人再生」や「債務整理」という方法が考えられます。自己破産でない場合は、強制解約を避けられる可能性が高くなります。2つの方法のメリット・デメリットを表にしてみましたので、参考にしてみてください。

【個人再生・債務整理を行なうメリット・デメリット】

個人再生債務整理
主なメリット●  借金の元本を大幅に減らすことが可能
●  財産を手放すことなく借金が減らせる
●  給料の差し押さえが止められる
●  住宅ローンを除外して手続き可能
●  利息をカットできる
●  毎月の返済額を軽減し長期分割払いに変更可能●  家族にバレにくい
●  住宅ローンを除外して手続き可能
主なデメリット●  いわゆるブラックリストに掲載され、カードを作ったり、ローンを組むことができない
●  裁判所へ手続きを行なうこととなり時間がかかる
●  すべての債券者を平等に扱わなければならない
●  任意整理より費用がかかる
●  いわゆるブラックリストに掲載され、カードを作ったり、ローンを組むことができない
●  給料差し押さえを止められない

自己破産後、携帯の新規契約はいつ出来るのか?

自己破産後、いつから携帯の契約ができるのか、とても気になるところです。いつ、どの携帯電話会社で契約できるのでしょうか。

自己破産後すぐにでも新規契約は可能

自己破産の手続きが終わり、借金が免責になれば、新規契約は可能となります。携帯電話の利用料金を滞納すると、いわゆる「携帯ブラック」といわれる携帯電話会社で共有されるリストに登録されます。各携帯電話会社が加盟する電気通信事業者協会(TCA)が情報を収集し、携帯ブラックに登録、そして各社に情報を共有していきます。ですので、料金滞納中に別の携帯電話会社に新規契約しようとしても、携帯ブラック掲載者ということで拒否されます。しかし、自己破産の手続きが終了して借金が免責になると、各社共有の携帯ブラックの登録が解除され、新規契約が可能となるのです。しかし、滞納された携帯電話会社自体にはその情報は残ります。そのため滞納していた携帯電話会社での契約は難しいかもしれません。また、以下でも述べますが、新規契約の際、携帯端末の支払いは分割払いができないことに注意が必要です。

分割払いでの契約は出来ない

自己破産後は、借金が免責され、携帯電話に新規加入はできるのですが、携帯端末を分割で購入は出来なくなります。携帯端末の料金は約10万円前後することから、多くの方が分割で月々の利用料金とともに払っていきます。その分割払いというのが、携帯電話会社に2年間などのローンを組んで返済していることになるのです。自己破産をすると、ローンを組むことができないので、携帯端末の分割払いもできなくなります。

強制解約されて分割払いが出来なくても携帯を利用するには?


強制解約されて分割払いが出来なくでも、携帯電話は利用できることになるのでしょうか。もしあれば、どのような方法があるのか見てみましょう。

携帯端末を一括払いで支払って購入する

先にも述べましたが、自己破産を行なうと、信用情報機関に登録され、各社でその情報は共有されます。携帯端末は高価なため、一般的には2年間での分割払いを行なう場合が多いですが、信用情報機関に名前等が登録されると、ローンが組めなくなるので、携帯端末を分割払いで購入できなくなります。そのため、携帯端末を購入するには、一括払いで購入することになるのです。一括払いだと、携帯販売店のみならず、家電量販店やECサイトでも購入が可能です。なお、信用情報機関はおもに以下の3つです。

● 株式会社日本信用情報機構(JICC)

● 株式会社シー・アイ・シー(CIC)

● 全国銀行信用情報センター(KSC)

携帯電話会社に限れば、日本信用情報機構は、主にdocomoとソフトバンクが加入、CICにはほぼすべての携帯電話会社が加盟しています。自己破産を行なった者として登録される期間は、JICCが自己破産手続き終了日(免責確定日)から5年、CICは破産手続き開始決定日から5年です。

家族名義で契約してもらう

強制解約された場合、家族名義で新規契約してもらう方法で携帯電話を使用することが可能となります。名義人が信用情報に登録されていないのが条件です。親御さんや配偶者、18歳以上の子どもなどであれば、携帯電話の契約が可能となります。そういった家族の名義で契約してもらう場合、審査落ちや新規契約を拒否されるといった事態が免れます。

レンタル携帯やプリペイド携帯を利用する

強制解約された場合、レンタル携帯やプリペイド携帯を利用する方法もあります。
レンタル携帯は、1日~数か月間携帯電話をレンタルしてくれるサービスです。審査無しで加入できたり、支払いが口座振替や銀行振込、コンビニ決済で行なうことができるため、自己破産していても利用できます。業者は、Goodモバイルをはじめ、エイザス、エクスモバイル、サンシスコン、携帯レンタルデッセなどがあります。各社により、プランに特徴がありますが、契約期間が1日単位から月単位あったり、通信量の上限により料金が異なったり、多種多様なプランが準備されています。
プリペイド携帯は、先にお金をチャージし、その金額の範囲内で電話やネット通信が行なえる便利な携帯電話です。チャージした金額は減ってきたら、追加でチャージすることで引き続き利用することができます。基本料金が無い分、電話代や通信料は割高に設定されていますが、チャージ額の範囲内で賄おうと思えば節約にもなります。このように便利はプリペイド携帯ですが、犯罪予防の観点から加入審査が厳しい場合があり、信用情報に登録されている場合、加入できない可能性もあるので注意が必要です。そして、長期間、使用しないと使用期間切れになったり、長い間、チャージが行なわれないと解約されることもあるので気をつけて利用すべきでしょう。
た業者。

安い端末や中古端末を購入してSIMカードのみ契約する

新規で携帯端末を一括購入するには多額の資金が必要となります。そこで、リサイクルショップや中古端末販売店などで安い端末を購入することも考えてみましょう。リサイクルショップ等でなくても、携帯販売店で認定中古品を販売していることもあるので確認してみるのもいいでしょう。ソフトバンクなら認定中古品のiPhone、イオシスなら中古iPhone、中古Androidなどを取り扱っています。そして通信面では、SIMカードのみを契約する方法を取ると、携帯電話が利用可能となります。格安SIM会社は、携帯電話の利用料金の滞納情報が共有されるTCAやTELESAといった信用情報機関に属していない会社がありますので、新規契約しやすいかもしれません。利用料金も安いので延滞しにくいといったメリットもあります。ただ、利用料金の支払いがクレジットカードのみの場合があるので、注意が必要です。クレじっとカードしか認められない場合、デビットカードは利用できるかの確認をしてみることも大事になってきます。

預託金制度を利用する

預託金制度を利用することで、携帯電話を利用する方法もあります。預託金制度とは、携帯電話会社に一定の金額を担保として預けておき、料金を滞納した場合、そこから充当されるシステムです。docomo、auでは利用できます。利用者としては、携帯電話が利用できるメリットがあり、携帯電話会社も預託金があることで、延滞料金が発生しても、貸し倒れが無いメリットがあります。キチンと支払っていれば問題なく、一時的に預けているお金なので、戻ってきます。ただ、預託金が減ってきたら、追加で預けないと強制解約される可能性があるので注意が必要です。

自己破産後も携帯を利用していく場合の注意点

自己破産した後、携帯電話を利用する際、気をつけておくべきポイントがあります。そこを押さえておくと、今後、携帯電話を不安なく利用できるでしょう。

利用代金の支払い方法は銀行引き落としにすること

自己破産後、携帯電話を利用する際、利用料金の支払いはクレジットカード払いは選択できません。信用情報機関の登録から解除、いわゆるブラックリストから名前が消えるまではクレジットカードは作れません。ですので、利用料金の支払いは、銀行引き落としにすることになります。

スマホ決済は注意する

お店などで購入料金やサービス料金を支払う際、携帯電話を利用してQRコードで決済するといった方法があります。このような決済方法には「前払い制度」と「後払い制度」があります。前払い制度は銀行口座から決済できる場合があるのですが、後払いの場合にはクレジットカードでの決済が可能です。自己破産後は、一定期間クレジットカードが利用できないので、支払い方法を変えておくべきでしょう。

キャリア決済の利用はなるべく控えること

そして、スマホ決済とは別で「キャリア決済」というサービスがあります。これは、ECサイトで商品やサービスを購入する際、携帯電話料金と一緒に料金が決済されるといった内容のものです。購入時に料金を支払うのではなく、数か月後に、購入月に利用した携帯料金と同じタイミングで銀行引き落としなどが行なわれるので、クレジットカード払いと同じ感覚で利用してしまい、後々、資金繰りに困るといった事態に陥る可能性があるので注意が必要です。

まとめ

自己破産した場合の携帯電話に関する取り扱いについてみてきました。料金が未納な場合は、強制解約される可能性があります。自己破産後は、借金の免責が行なわれた場合でも携帯端末の分割払いが不可能だったりするなど、制約もあったりします。しかし、事前に以上のような情報を頭に入れておけば、自己破産のための行動を起こす前にさまざまな対策を立て、引き続き携帯電話を利用することが可能です。自己破産を検討されている場合、この文章を読んで、計画的に携帯電話の利用を考えてみてはいかがでしょうか。

さいごに

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